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TAKU KAWAHARA

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TAKU KAWAHARA

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略歴:兵庫県神戸市生まれ。滝川高校卒業後上京。
23歳の時に渡英し、イギリス、スペイン、ドイツ、アメリカ、南米などで音楽活動しながら約14年間海外に拠点を置く。
2013年神戸市中央区に株式会社スペースドッグを設立。
世界人と世界に目を向けた音楽人を送り出していく。
http://www.spacedogrecord.com/

 

Q1:今何をやってます?何にチカラを入れてますか?

スペースドッグレコードをやってます。何にチカラを入れてるか?音楽の社会的地位の向上です。これを世界標準にしたい。日本の社会の中における音楽あるいはミュージシャンの地位の向上です。

Q1-1:海外に比べて地位が低いってことなんですかね?

例えば飲み屋に行って誰かと知り合って、「何やってんの?」って言って、「ミュージシャンです」って言った時に、日本だと大概は「バンドやってるの?」「音楽好きなの?」って趣味の延長で音楽やってるという話になるじゃないですか。まさか音楽で食べてると思わないじゃないですか。「でも生業(なりわい)は?」みたいな話になるじゃないですか。「大変やね」とかなるんですよね。でもイギリスでミュージシャンの人は「大変やね」とは言われないです。だって普通の人は大変さがわからないですから。普通の人が入ったらいけない領域じゃないですか。でも日本だと普通の他の職業と同じに扱われるから「売れないのに大変だね」とか「生活どうしてんの?」とか。
イギリスで「ミュージシャンです」って言うとまず尊敬されますよね。人とは違う能力があるということだし。芸能人とかタレントとかとは違いますよね。ミュージシャンですから。
逆に言ったら日本の場合は、ミュージシャンじゃない奴らがミュージシャンを気取ってるんですよ。そういう弊害も大きいし。日本で音楽やってるって言うと「タレント?紅白出るの?」みたいなことになるじゃないですか。
「有名人になりたい」「タレントになりたい」「お笑いやりたい」みたいなのと同列になってる。
ミュージシャンは音楽さえできればいいんですよ。本当に音楽だけをやってる奴がちゃんとおれる社会的地位がないですよ。
例えば陶芸家でも画家でもいいんですけど手に職がある。上でも下でもないですけど分離されている人達としてリスペクトされますよね。
欧米に較べてミュージシャンの立ち位置が、すごい下に見られていると思ってるんですよ。人を楽しませてその人の普段の生活の憂さ晴らしをしてお金をもらうっていうのが、いわゆるミュージシャンだと思う。でもそれは普通の人にはできないんでそれなりのリスペクトがある。日本は普通の人がテレビに出るとか有名になるための道具として(音楽を)使ってるからそういう風にみられちゃうわけです。売れてるから有名だから偉いじゃないんですよ。
海外って全然知られてなくても有名でなくても余裕で音楽で食べてる人がいっぱいいるわけですよ。
社会的にミュージシャンっていう地位があるんですよ。上でも下でもないけども、生まれもって何かある人がやれる世界だから、そこに対する敬意が売れてる売れてない関係なくあるはずなんですよね。

Q1-2:海外の場合、プロとアマの垣根ってどうなってるんですかね?

アマチュアのやつはあんまり「音楽やってます」って言わないんじゃないですか。「音楽好き」とか「ミュージシャンになりたい」とか。

Q1-3:ミュージシャンの地位の向上を達成するために何をやってますか?

具体的には日本と世界とは何が違うのか?世界標準とは何なのか?というのを日本のミュージシャンに見てもらう。なんでかっていうと、ここでそれを一生懸命言っても、僕の日本語おかしいし、説明下手だし、顔は怖いし、伝わらないんですよ。僕は仲間を増やしたいんです。興味を持って耳を傾けてくれるミュージシャンを海外に連れて行って現状を見せて、彼らが日本に帰ってきて「こうやったわ」って喋ってくれたら僕の分身(仲間)ができるわけじゃないですか。その分母を増やしていきたい。いまあまりにも分母が足りないんで。

Q1-5:去年ソウルに連れて行ってきたんでしたっけ?

昨年ですね。今年(2016年9月)も行きますけど。
前回6人で5人組のバンドと。それで行って伝わるかな~?って思ってたけど、色々わかってくれたみたいでメチャメチャ嬉しかったですね。
交流もメチャメチャしてきましたよ。それがないと意味が無いんで。ただ大きな仕事を取ってきて音楽やってくるだけじゃ僕の望んでるものと違うわけです。もちろん送り先は慎重に選びました。ソウルでこんな場所があるんだっていうストレンジ・フルーツというライブハウスがあったから。事前に紹介してもらったそこのオーナーと知り合ってここが面白いなと思って。5人連れて行ってそこでライブさせたら、店の人もお金取らないしフリードリンクにしてくれて、ソウル中のミュージシャンが集まってきてくれて声かけてくれて、三日三晩朝までずっと音楽演奏してみんなで飯食って酒飲んで。そういう状況を予想以上に作ってくれて。僕らからしたら世界で音楽やるってまずそういうことなんですよ。僕もそういうことやってきたし。韓国のミュージシャンってこうやって生きてるんだなとか。ミュージシャンがミュージシャン同士で音楽やったら一番楽しいに決まってるじゃないですか。日本ではないんですよ。
ノルマ払って(ステージ)出て、他のバンド見ずに自分の出番終わったら帰って、打上げもいかへんし。

Q1-6:韓国での音楽の地位ってどうですか?

韓国も低いと思いますね。アジアは総じて。経済的に発展しようとしてる段階なので。僕は文化って、経済のピーク着いて落ちてから生まれてくるものだと思ってるから。今はお金を稼ぐので忙しいですよ。文化的なものを許容する余裕がまだアジアにはないと思って。ただアメリカの影響だいぶありますから。韓国はエンターテイメント文化がアメリカなんで。だいぶアメリカナイズされてるね。
日本と違ってお酒飲んで酔っ払って「ライブでも見に行こうか」っていうのはありますよね。金曜の晩とか弘大(ホンデ)っていう原宿みたいなところは5000円くらい払ったら20箇所くらいのライブハウス行き放題。行って「このバンドええやん」とか「つぎ行こうぜ」とかみんな永遠にやってる。音楽を聞いて踊るという文化もあるんで、それがロックであろうとディスコであろうが何でもいいんですよ。自由です。日本にはないです。
それくらい人が来るんですよね。バンドがノルマを払ってお客さんを集めなくても。当然ミュージシャンは自然淘汰されていくし、ちゃんとやればギャラも出るし健全なんです。みんな音楽を求めてて、「うわー良いバンドだな」っていうのは残っていくわけじゃないですか。みんな耳も肥えてるから、良くないなって思ったら行かないじゃないですか。てことは「ミュージシャンです」って言ったら「すごいですね」ってなるじゃないですか。日本だとノルマ払わなあかん、客は呼ばなあかん、友達は減っていく、「音楽やってます」って「大変やね」ってなるじゃないですか。

Q2:もしTAKUさんになろうとしたら、何をしたらなれる?

僕になるには本当の意味でのグローバルスタンダードっていうと格好良すぎるけど地球人になる。
それは何かというとバランス感覚だと思う。カブれてもダメだし、日本人というものを持ちながらもバランス感覚がないと国際人になれないと思うんですよね。みんな世界中の人は国際的な中で生きてるわけですよ。お父さんアメリカ人お母さんフランス人とかおじいちゃんイタリア人とか。そういうバランスの中で生きてるんですよ。僕らだけバランスないまま生きてるんで。世界出た時にそのバランスがないと変にカブれてしまったり、殻に閉じこもったり、ジャパン・アズ・ナンバーワンとか言い出したり。本当になかなか日本人には少ないんじゃないですかね。そのためには旅じゃないですか。何かにのめり込む旅ではなくて全部を見てバランスを見る旅ですよ。

Q2-1:例えば仕事の転勤で5年間行ってたとかダメなんですか?

ダメですね。全然ダメですね。そこにバランスがもうないですもん。まったく白い地図の上に一人でポンって置かれてバランス取って行かないと。

Q2-2:日本の会社の転勤で行くんじゃなくて、海外現地採用は?

逆に言うと就職しなくってもいいと思いますよ。食っていかなきゃならないから働いたり働かなかったり。
僕の知ってる人で、20何年ニューヨークに住んでるけどバランス感覚のない人知ってますよ。逆に神戸に10年住んでる外国人もバランス感覚ないやついますし。そこは難しいですよね。仕事で5年行こうが10年行こうがダメでしょうね。やっぱ自分の意志で行かないとあかんし。行って自分が何をするか考えながらそんな中で仕事するならいいですけど。

Q2-3:例えば、寿司職人で海外行って店を開こうとか、イタリアに本場の料理を習いに修業に行くっていうのはどうですか?国際バランスって付くんでしょうか?

それはそれでいいと思いますよ。腕に職が付いたら世界中どこでも行けるわけだし。行くかどうかですよ。次やらんと。修行で5年使ったとして、自分は腕があると。どこでも美味しいものを作れると。これがあるんやから「いろんな世界を見てみよう」とならないと。国際バランスが付くっていうのはそこから先でしょうね。だから喋れるとかだけじゃダメですよ。
自分で全部は見れないじゃないですか、全部の人種を理解するなんて無理だし。ある程度見ながら自分を保ちながらバランスをとってどっちにも行かない。行けるけど行かないことやらないと。そして自分を確立していかないとバランス感覚身につかないんじゃないですかね。

僕は妹が先にフランスに行ってたんですよね。妹はフランス語を勉強するために、完全に日本語を忘れようという勢いで日本人とのコミュニケーション一切断ってフランス行くわけですよ。フランス人しかいない田舎に行ってフランス語勉強して、旦那もフランス人。フランス語完璧に喋れますけど日本語怪しくなってる。僕そういうのを見てるんでそういうの寒いなって思うんですよ。何か一個に傾倒する。例えば子供の時に好きなアイドルとか誰ですかとか聞かれて答えられないんですよ。ずっと偶像的なものを持てないんですよ。好きなミュージシャンもいないし。何か一個に傾倒して偶像化してっていうことができないんですよ。ずっとバランスをとって。偶像がいて傾倒したほうが幸せだと思いますから、人に押し付けないですけど。
僕になるためにはそれがあってはダメでしょうね。

Q3:僕が知らないTAKUさんを教えて下さい。

実は僕、絵を描くのが好きなんですよ。だから、残りの人生10年って言われたらその10年絵を描いて暮らしたい。
だから絵を描かないようにしてるんです。描き出したらダメなんで。
ウチの家はそういうのダメだったんで。絵を描いたり音楽したりするのはオカマのすることだって言われる家だったんで。でも好きなんですよ。

南米に行った時にテンホっていう村があって、横から見るとインディアンが寝ている形になっているアンデス山脈の麓のちょっと寒い村があってそこに1年半くらいいたんです。なんでいたのかというと、その前に知り合った女の子の実家がそこだっただけなんですけど。その女の子に娘さんがおって三人で暮らしてたんです。めちゃ田舎なんですよ。
近くのバス停まで歩いて45分位かかるわけですよ。その間牧場しか無いわけです。そのテンホっていう街の中心部に行ったらスーパーとか肉屋さんとかあるんですけど、そこまで歩くにも30分くらいかかるんですよ。牛乳一個買いに行くにも20分かかって往復40分かかるわけですよ。超スローライフですよ。朝牛乳ないなって「買いに行ってくるわ」って出たらそのままブラブラ歩いて、街に行ったらみんな外国人なんか見たこと無いから珍しくて声かけてくれて友達ができたりするじゃないですか。そしてお茶でも飲んだりして牛乳買って帰るのが半日かかったりする。晩ごはん作るのに半日かけたり、一日かけてスープ作ったり、子供と遊んだり。お金もなかったですけど、もちろん曲作ったりしてましたけど、あまりにも時間があって暇だから絵描いてみようと。
ところがキャンバスがないんですよ。お金ないから。だから家の壁に描き出して。最初テーブルだけだったんだけどだんだん止まらなくなってきて。一日中描いてましたよ。だけど描きたい絵を描きたくなかったんですよ、入って行っちゃうんで。いわゆるパターン的な絵ばっかりやってたんです。よくわからんパターンを作ってそれをコピペするような形で。絵を描くというよりは色塗る作業でしたね。
塗る壁なくなってきて、しゃーないから隣の家に頼みに行って、隣の人が(描いた絵を)見に来て、「こんなんやー、家もしてー」って「じゃぁOK、描きますよ」って。家が潰れてなければ、今でも壁だけえらいカラフルな家がいっぱいある地域があるんですよ。
それが34歳くらいですかね。
絵はず~っと大好きですよ。でもやめてたんですよ。やりだしたら止まらないんで。絵なんか描き始めたら絶対ダメ人間ですよ。人生だめになるんで。お酒も飲まないですよ。タバコとコーヒーだけで。
絵を描くのが好きで、余命5年と言われたらずっと絵を描きたい。それだけできるお金をなんとか貯めたい。

Q4:「私はAをBに変えます」のAとBを埋めてください。

「私は空気を音楽に変えます」
音楽って何もない、目に見えないじゃないですか。

Q5:自分に不足してるもの、枯渇してるものは?

お金です。お金というよりお金をマネジメントする能力です。
内面的には社交性が足りてない。それはもう無理です。
それよりはお金をちゃんと管理運用できる能力がほしい。できそうな気がするけど40年経ってもできてない。

Q6:いま目指している先、成し遂げたい、どうなりたい?

この店が2016年9月で3周年。タワーレコードとかHMVとか潰れていってる中、CDショップやるっていうのがいかに気狂ってるかって言われ続けてますけど、「3年やったぞ、全然儲かってないにしろ、ザマァ見ろ」って思ってますよ。ここまでは耐えて耐えてなんとか耐え続ける3年だったんですけど、攻めますね。潰れていいくらいの勢いで攻めますね。

Q6-1:攻めるというのは?

単純に言うと、銀行に借金しますね。今のところ借金ないんで。儲けもないんですけど。

Q6-2:資金を得て何を?

とりあえずロンドン支店を作ろうかな。か、東京支店作ろうかなと。
以前から思ってたんですけど、神戸の中で「神戸神戸」言うより、神戸の外に出て「神戸神戸」言った方が神戸のためになりやすいっていう。そんな神戸神戸て考えてないですよ。神戸神戸って言うほど神戸も格好良くなくなってきてるし。いや、もともと格好良くないのにそれを格好良くしようとするあまりダサくなってきてる。「神戸」って言うのが恥ずかしくなるかもしれない。それも踏まえてちょっと違うトコ行こうかなと。
僕は動いて巻き込んで行くタイプの人間なんで、ずっとここにいちゃダメなんです。ここ(スペースドッグレコード)はちょっとオッパイおっきい可愛らしい若い女の子を置いて僕は開拓する。それができたら理想ですけどね。

Q6-3:神戸から出るっていうのがひとつの近い目指す所?

最終的に神戸に還元されればいいんですけど、現状の神戸があまりにもダサいというか。その中で神戸神戸というのが本当馬鹿らしいというか。それを中からこのダサさを変えるんじゃなくて、例えば東京行って「神戸発」ということを謳って神戸のイメージを外側から付けたほうが早いんですよ。このダサさを変えるのは。どんどんダサくなっていくのを中から変えていくのは無駄だと思いますよ。
だって良くなってないですもん。悪くなってますよ。
やってる人からやってるイベントからダサいでしょ。
神戸ビエンナーレとか。神戸まつりもダサいけど。
とにかくダサい方に加速してるんで。そういうダサい人たちは東京とかロンドンとかから「神戸」っていうものが流れてきたら、たぶん「すげーカッコいい」ってなると思うんですよ。もしくは、黙んまりでじーっと通り過ぎるのを待つみたいな神戸の人特有のね。
別に神戸神戸って言わなくていいんですけど、なんだったらもう神戸って言いたくないし。恥ずかしいっすよ。
(↑「結局、めっちゃ神戸好きなんやな」 聞き手独り言)

Q7:自分に質問を3つ、そしてそれぞれ自分で答えてください。

日々自問自答してますからね。
僕お酒飲んだらダメなんですよ。音楽できなくなるんですよ。できても自信ないんですよ。シラフじゃないとダメなんですよ。曲書きたいんですよ。曲書くことぐらいしかできないんですよ。だけど毎日なんか盛り上がったりしてる流れの中で飲んじゃうじゃないですか。(缶ビール開ける)プシュって鳴った時に「あ、これで今日も曲が書けなかったな」って。

Q1.いつ曲を書くんだ?
A:いや~もう難しいですね。最近即興でやってるんですよ。そういうのを打ち出してて自分でも面白いなって思ってるし。全く何も考えずにギターを首から下げて最初に鳴った音からライブを作って行くっていう、そういうのをずっとやってるんで。でも本来はそっち側の人間じゃなくて、ちゃんと頭の中から出てくるのを形にしていきたいわけですよ。それを即興性で逃げてるんじゃないかと。(↑「結局、答えてないし」 聞き手独り言)

Q2.即興性で逃げてるんじゃないか?
A:逃げてます。即興って何年もやるとね、即興じゃなくなるんですよ。全く毎回違いますよ、出てくる音も違いますよ。だけど即興でやることに慣れるんです。だからなんの恐怖心もないし、自分は才能がないんじゃないだろうか?みたいのも全くないし。なんとかなるやろって。やってきてるし、っていうところがあるんで結局楽な方に逃げてる。

Q3.どこで死ぬんですか?
A:僕は暖かいところでバナナでも食べながら絵を描きながら死にたいですね。
どこで死ぬかってとても大事で、イギリスなのかスペインなのかキューバなのかコロンビアなのか、日本というチョイスはないですけど。だって僕は最初の話に戻りますけどバランスを考えて生きてるから。死ぬとこって一つしか選べないじゃないですか。じゃ、バランスを捨ててどこかに傾倒しなければならない。それをいずれ決断しなければならない。もしあと10年キューバに住むってなったらキューバ現地人化した方が、キューバ人になった方が楽ですから。そこはバランスを捨てなきゃならない。それをどこの国にするか。
キューバがいいかなと思うんですけどね。暖かいしお金なくってもいいし。現状お金がないんで一番お金のかからないキューバがいいんじゃないかな~。
(↑「は~い、お酒を減らしてしっかりお金の管理してくださ~い」 聞き手独り言)

ありがとうございました。

 

スペースドッグレコード

http://www.spacedogrecord.com/